水戸奏楽堂で聴くピリオド楽器による「音楽の捧げ物」

水戸芸術館から2ブロックほど歩いたところに、2013年にオープンした「奏楽堂」があります。わずか70席のホールで、定期的にコンサートを開催していて、1度ここで聴いてみたいと思っていました。

バッハの「音楽の捧げ物」が奏楽堂で演奏されるというので、初めて行きました。ここは個人が造った室内楽専門のホールですが、古楽にフォーカスした非常に個性的なプログラムが気になっていました。

昨年久しぶりにポツダムにも行ってきたばかりです。ポツダムで生まれた「音楽の捧げ物」を生で聴けるので、楽しみにして行きました

今回はバロックヴァイオリンを寺神戸亮が演奏します。若くして、東フィルのコンマスとなりますが、数年で辞めて、オランダに行き、クイケンのもとでピリオド楽器の演奏を学びました。

それ以降は、ソロ活動のほか、レザールフロリサン、ラ・プティバンドなど、数々の古楽オーケストラのコンサートマスターなどをやって来ています。1度コンサートで聴いてみたいと思っていました。

今回は全員がピリオド楽器では有名な演奏家ばかりです。オランダやベルギーの古楽で活躍して来ています。

 バロックヴァイオリン 寺神戸亮

 バロックフルート 前田りり子

 ヴィオラダガンバ 上村かおり

 チェンバロ 曽祢麻矢子

モダンな建物は70席のホールになっていて、超満員でした。目の前には、象牙の細工が美しいヴィオラダガンバが置かれてあります。ステージの奥には、エレガントな装飾を施されたチェンバロがあります

演奏に先だって、寺神戸亮がマイクを持って、話を始めました。

「音楽の捧げ物という曲は、私たちプロにとっても非常に難しい曲なんです。今日は、このバッハが作り上げたポリフォニー音楽をタップリと、皆さんと味わってみたいと思います」

プロジェクターが用意されていて、バッハとフリードリヒ大王の紹介から始まりました。「旧世代のバッハと新世代のフリードリヒ大王、、、」今日はレクチャーコンサートという感じです

バッハがポツダムプロイセンのフリードリヒ大王と会った時に、大王から与えられたテーマに基づいた「音楽の捧げ物」が作曲されたことは、大変よく知られています

まずは「大王の主題」の解説をします。それを曽根麻矢子チェンバロで演奏しました。ミステリアスなあのテーマです。

ハ短調という当時の楽器では演奏しにくい調で作られており、半音もあって、フーガには難しい主題です。音楽に造詣が深く、性格的にひねくれたところのあるフリードリヒ大王はバッハを困らせようとしたんではないか」と寺神戸亮は言います。

そして、大王の主題とともに、ポツダムでバッハが即興で演奏したと言われる「3声のリチェルカーレ」の楽譜を説明して行きます。そして、寺神戸の解説のあとに、曽根麻矢子が演奏しました。

「当時、もうポリフォニーの音楽は古くさい音楽とされてきていました。そういう時代に、晩年のバッハは、最高のポリフォニーの音楽をつくって残そうとしていたように思います」

そして、四人のメンバーによる演奏が続きました。10曲のカノンについては、ひとつひとつ楽譜をプロジェクターで映します。「謎のカノン」はどこが謎なのか、など、、、バッハの独特の譜面ですので、その意味を解説してくれます。

「いかに複雑な音楽であるか、お分かりになったでしょう。バッハはまさに驚異的です。そして、これはフリードリヒ大王への返答であると同時に、これが分かりますか、という挑戦とも考えられます」

そして、フリードリヒ大王がバッハに「6声のフーガ」を要求したのに対して、バッハがライプツィヒに戻ってから仕上げて送った「6声のリチェルカーレ」を曽根麻矢子チェンバロで演奏しました。

さらに、楽器の指定が明確にある「トリオソナタ」が続きました。

アンコールに応えて、「6声のリチェルカーレ」を、四人のアンサンブルで演奏しました。それは、フルート、ヴァイオリン、ヴィオラダガンバの3人で3声を受け持ち、残りの3声をチェンバロが演奏したものです。

音楽ファンの友人のI 君がコンサートに来ていたので、コンサートのあと、少し話をしました。

「素晴らしいコンサートでしたね」

古楽の響きを満喫できました」

「レクチャーしてくれて、音楽の捧げ物がとてもよく分かりましたね」

「いかにバッハがすごい音楽であるか、、、」

「ずっと聴いてきた音楽でも、こうして話を聞くと、違って聞こえる感じです」

「そうですね。今日は来て良かった」

「チコちゃん流に言えば、ボーっと聞いてんじゃねーよ!!」

「アハハ、ボーっと聴いていても素晴らしいですが(笑)」